男性も、約50%の確率で不妊の原因になる場合があるようです。前回は男性不妊の原因で最も多いとされる造精機能障害についてご紹介しました。今回は男性不妊の原因をご紹介する第2弾です。
<男性の不妊原因②精路通過障害>
精路通過障害とは、精巣では精子が作られているにもかかわらず、精子の通り道に問題があり妊娠を妨げていることを言います。男性不妊の原因のうち4%程度がこの精路通過障害だと言われています。
このような精路の狭窄や機能的閉塞がある場合は、精液中に精子が見られない無精子症や乏精症となります。
<男性の不妊原因③性機能障害(勃起不全、射精障害、性欲低下)>
精液には問題がなく、精路にも問題がないが、精液が女性の生殖器官に到達できない場合、性機能障害となります。
勃起ができない勃起不全。勃起はできるが腟内に射精できない射精障害。そもそも性欲がわかない性欲低下が主な障害の内容です。
他に尿道に向かうべき精子が膀胱に向かってしまう、逆行性射精という障害もあります。
マスターベーションは可能であるが、性交となると勃起しない、射精できないという場合もあるようです。
<男性不妊の原因となる障害を引き起こす代表的疾患「精索静脈瘤」>
男性不妊の原因の8割を占めるという造精機能障害。その原因はわからないことも多く、治療をするのが難しいと言われています。
そんな中、造精機能障害の方のうち3分の1程度に見つかる疾患が、この「精索静脈瘤」です。
陰嚢の静脈が逆流を起こし、拡張した状態をいいます。静脈弁の機能異常や左腎静脈が他の血管に挟まれたりすることで逆流が起こり、うっ滞するため静脈瘤ができるのです。大動脈、下大静脈の位置関係から、ほとんどの場合左側に生じます。
こちらは悪性の病気ではなく、軽いものを含めると全成人男性の15%程度に見られます。この15%の方全てに精液異常が見られるわけではなく、全く問題のない方も多いです。
通常、陰嚢内は体温より3度ほど低い温度に保たれていますが、静脈瘤があることで温かい血液が流れ陰嚢内の温度が上昇し、精子形成障害が生じると考えられています。
<最後に>
男性の不妊症を専門に診る医師は、2016年の段階でも45名程度しかいないそうです。そのため、男性不妊の専門医による検査や治療を受けることは難しいのが現状と言えます。
まずは男性側も不妊の原因となる可能性が十分にあることを理解し、できうる検査をできるだけ早く行うことが大切になるかもしれません。