トランス脂肪酸を知っていますか?摂取しすぎると体に良くないとして、近年、テレビやネットでもよく取り上げられています。今回は、お腹の赤ちゃんのために食事に気をつけている妊婦さんには、特に気になるこのトランス脂肪酸をご紹介します。
【トランス脂肪酸とは?】
ちょっと難しい説明からすると、トランス脂肪酸は、構造中にトランス型の二重結合を持つ不飽和脂肪酸のことです。水素を付加して硬化した部分硬化油を製造する過程で多くできてしまうそうです。また、特定の油で高温調理をした時、電子レンジで加熱した時にも多く発生するそうです。一言で言ってしまえば、そうした過程でできる「化学物質」だと言えます。化学物質の摂取と言われれば、妊婦さんでなくても、気になってしまうのではないでしょうか。
脂肪酸は、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の2種類に分けられ、その不飽和脂肪酸のなかに、シス型とトランス型があります。問題なのはこのトランス型の方です。天然の不飽和脂肪酸のほとんどがシス型ですが、天然のウシ、ヒツジなど反芻動物の肉や乳製品の脂肪中にもトランス脂肪酸は少し存在しています。そのため、牛肉、羊肉、牛乳など乳製品にはトランス脂肪酸が含まれていますが、これらは非常に微量なのであまり心配する必要はないそうです。妊婦さんが気にするあまりに栄養が摂れなくなってしまっては、本末転倒です。
【硬化油とは?】
常温で液体となっている油脂に、水素付加を行い飽和脂肪酸の割合を増加させ、常温で固形化した油脂のことです。保存に適した状態にするために、手を加えているのです。同じ温度で液体だったものが、固体または半固体に変化していますので、硬くなった油脂という意味の「硬化油」呼ばれます。マーガリン、ファットスプレッド、ショートニングなどが、身近にある硬化油です。
【トランス脂肪酸を摂取するとどんなリスクがある?】
トランス脂肪酸は体内で代謝するのが難しいため、少しずつ蓄積されていってしまいます。そうなると、トランス脂肪酸はLDLコレステロールを増加させ、HDLコレステロールを減らしてしまい、心血管疾患のリスクを高めるといわれています。血管が詰まりやすくなり、動脈硬化や心臓の機能低下のリスクが高くなるわけです。それに加えて、トランス脂肪酸が含まれる食品は高カロリーなものが多いこともあり、肥満や糖尿病になるリスクが高くなる可能性もあるそうです。糖尿病は妊婦さんにとって、特に心配な疾患ですよね。
まずはトランス脂肪酸とは一体なんなのか?という基本的なことからご紹介をしました。妊婦さんの体のこと、お腹の赤ちゃんのことを考えると、できるだけ摂取を控えたいですね。次はより具体的にどんな食品に気をつけたら良いのかをご紹介します。