不妊の原因は女性にあると思い込んでしまっている人もいるかもしれませんが、WHO(世界保健機関)が不妊症の7273カップルを調査した結果によると、男性のみに原因がある場合が24%、男女両方にある場合が24%あり、両方合わせると約半数になるのです。今回は男性不妊の原因をご紹介する第1弾です。
【男性の不妊原因①造精機能障害】
精子をつくり出す機能に問題があり、精巣の中で精子が正常に作られない障害です。
男性不妊の原因は約80〜90%がこの造精機能障害であると言われています。
世界保健機構(WHO、2010年)によって定められている基準値と比べ、量、濃度、運動率などが下回っていた場合に造精機能障害とされます。
WHOが定義する正常な精液の定義は以下の通りです。
精液量1.5 mL 以上
精子濃度1500万個/mL 以上
精子運動率40%以上(うち8割が前進運動精子)
正常形態精子4%以上(=奇形率96%未満)
精液中白血球100万個/mL 未満
色調乳白色
造精機能障害には様々な種類がありますので、代表的な3つをご紹介します。
<無精子症>
精液中に精子が全くいないことを無精子症と言います。
射精はできますが、精液の中に精子がいないということです。
日本人男性の約1%が無精子症と言われています。
原因は精巣が精子を作ることができない場合、その能力が極端に低下している非閉塞性無精子症の場合、精子の通り道の方に問題がある閉塞性無精子症の場合があります。
通り道に問題があったり、機能の低下であったりした場合、精巣上部や精巣そのものに精子が見つかる場合も多いです。その場合も自然妊娠は難しいですが、精子を採取して人工授精などを行うことが可能です。
顕微鏡下精巣内精子採取術(Microdissection TESE)という手術により、閉塞性無精子症であればほぼ100%、非閉塞性無精子症でも30〜40%の方で精子が見つかっているそうです。
<乏精子症>
乏精子症とは精液中の精子の濃度が低いことであり、WHOによると、精液検査で精子の数が1ml中1500万以下と定義されています。
ちなみに、健康な一般男性であれば1ml中の精子の数は億単位だそうです。
<精子無力症>
精子の数は正常範囲でも、運動能力に問題があるものです。
精液検査で前進する精子が40%未満の場合、精子無力症と診断されます。
精子の運動率が0%になると精子不動症と言われます。
精子無力症は、乏精子症と重なっておこることも多いようです。
【最後に】
乏精子症や精子無力症の基準については、基準を下回ったら100%自然妊娠ができないわけではありません。
健康状態によって、精液検査の結果が異なる場合もあるようです。
何度か検査をして、原因を探る必要がありそうですね。