前回は妊娠中のカルシウム摂取について書きました。今回は鉄分についてです。
おなかの中で血の通った命を育てるわけなので、貧血(鉄分不足)になるというのはイメージしやすいと思います。もう少し具体的に調べてみると、妊娠中の貧血は「鉄欠乏性貧血」と呼ばれ、血液中の鉄分が不足して酸素を運ぶためのヘモグロビンの合成が遅れることで発症するということです。
赤ちゃんへ優先的に鉄分が供給されるので、ママの体に回される鉄分が不足し、初期はさらにつわりのせいで十分な量の鉄分を摂取できなくなるのが原因です。安定期に入ると貧血は自然と治まる人もいるようですが、妊娠後期に入る頃にはお腹が大きくなり、必要な血液量も増えてくるため、また貧血を起こしやすい状態になってしまいます。
妊娠中の鉄分の推奨摂取量は、厚生労働省が以下のように定めています。
・妊娠初期 18〜29歳 8.5mg 30〜49歳9 .0mg
・妊娠中期〜後期 18〜29歳 21mg 30〜49歳 21・5mg
改めてみると妊娠中期以降、とんでもない量を摂取しないといけないですね・・・
ヘム鉄は、肉類・魚介類に含まれています。鉄分を多く含む食材とその鉄分含有量は次の通りです。
● 豚レバー(焼き鳥1串/約30g):3.9g
● 鶏レバー(焼き鳥1串/約30g):2.7g
● かき(むき身5個/約75g):1.4g
● 牛もも肉(赤身約1枚/70g):1.9g
● めじまぐろ(切身1切/70g):1.3g
● あさり(むき身約10個/30g):1.1g
● しじみ(むき身約10個/20g):1.1g
非ヘム鉄を多く含む食材とその含有量は次の通りです。
● 乾燥大豆(40g):3.8g
● 小松菜(70g) :2.0g
● 切干大根(20g):2.0g
● ほうれん草(70g):1.4g
● 高野豆腐(20g):1.4g
● 納豆(1パック):1.3g
非ヘム鉄は摂取しやすいのですが、体内での吸収率が低い問題があります。そこで吸収率を高めるには、タンパク質とビタミンCを一緒に摂取することです。特にビタミンCは血液を作るサポートをする栄養なので、積極的に摂るとよいようです。
以前少し書いたように、私自身は貧血だと感じたことはありませんでした。でも唯一、積極的に摂取していた食品があります。それは「ひじき」です。
鉄分といえばひじき。おいしいし、体にもいいし、しっかり味をつけて水分を飛ばしておけば、日持ちもしますよね。私はこんにゃくと人参もたっぷり入れて、ダイエットも兼ねて食べていました。でもこのひじきもあまりよくない成分を含んでいると途中で知って、少し控えました・・・。
が、この度もっとショックなことを知ったのです。
2015年末に文部科学省が「日本食品標準成分表」の改訂版を公表しました。干しひじきに含まれる鉄分は、100gあたり58.2mgとされてきましたが、改定後は、そのおよそ9分の1、100gあたり6.2mgしか含まれていなかったのです。昔は鉄鍋で煮ていたため鉄分が多く含まれていて、いまはステンレス製のため含まれなくなったとか。驚きです。
改めて感じるのは、何でもやはりバランスが大切だということです。小松菜にはカルシウムも鉄分の豊富に含まれているみたいなので積極的にとるとよい、とは思います。でもそれだけひたすら食べるというのは、おそらく違うんでしょうね。「おいしい」と思える時間も大切に、出産まで過ごしてください。